へたれお母さんの雑記帳

2015年生まれ長女・2021年生まれ次女を育てる、へたれママ医師の日記。

自分の使い方を知る

いつも私を励ましてくださる、職場のコメデイカルの部長(女性の理学療法士さんです)。

先日のお昼に、部長と話したことです。

何の話からだったか、私が娘について

「片付けが全くできない。出したものは出しっぱなし、開けた引き出しは開けっ放し、開けたドアは開けっ放し。いくらいっても直らないんです。」

「近くで話しかけても、返事をしないことが多々ある。自分の世界に入ってるみたいです。」

と話したら、部長が「あー、なんか私の子供の頃に似てる…。」と苦笑。

そこから部長の生育歴について、いろいろ話を聞かせてくださいました。

幼稚園の頃から、自分の世界に入ってしまうと周りの声が聞こえず、先生の指示を聞き逃して行動が遅れる「トロい子」だった。

体の動かしかたが下手で、スキップやボール投げが出来なかった。

片付けが全くできなかった。

忘れ物が多かった。

そんなこんなで、小学校ではずっといじめられていた。

数学はできたけど、漢字をいくら書いても覚えられなかった。

「今思うと、不注意型のADHDだったんだろうね。」と。

それでも成績全般は良かったので、県立トップ高から理学療法士の養成課程のある大学へ進学。

しかし、大学入学後、解剖学など物凄い量を一気に暗記しなければならない状況におかれ、(部活の後輩を見ていましたが、理学療法士の解剖学の暗記量は凄まじいです)、覚えることが苦手な部長はかなり追い込まれたそうです。

さあどうしようと悩みに悩み、自分は書いて覚えるより、見て覚える方が得意なことに気づいたと。何回も見て覚えれば、「何ページのあそこに書いてあった」と思い出せることが分かり、なんとか切り抜けられたと。

就職してからも、「何かをしていても別の事が頭に浮かぶと、そちらに取り組みはじめてしまい、もとのことは忘れて中途半端、仕事がちらかる」など困難はいろいろあったそうですが、それらの困難に対して、自分なりの対処法を見つけてやったきたそうです。

「大人になってから、自分の使い方っていうのが、少しずつ分かってきたんだよね。」と。

ちなみに片付けられないことに対しては、「片付ける物を少なくする=物を少なくする」とのこと。確かにー。

部長の仰った「自分の使い方」という言葉が、とてもしっくりきました。

発達障害の有無に関わらず、人には誰しもそれぞれ特性があり、「自分の使い方」を知るのは大切だよなと思います。

私自身、それが分かるようになってきたのは、大人になってからな気がします。というか、最近になってようやく。

子供~若年の頃は、まだ自分を客観的に見ることが難しく、周りに影響されたり、集団で過ごす場面も多いことから、その人にとっては困難な状況を強いられることも多いです。

大人になって行動の自由度が増してくると、自分の得手不得手に対して、自分なりの方法で対処することが可能になってくる。(そのためには、「自分の使い方」に気付く必要があるのですが。)

私自身は大人になって、具体的には、ツラーい研修医時代を終えて自分の性格に合った診療科の医師になった辺りからでしょうか、人生落ち着いてきた感があります。


娘の人生は、まだまだこれからです。
これから先、辛い状況にたくさん直面することと思います。

部長がもう一つ仰っていたこと。

ずっとトロいトロいと言われて苛められてきたけど、空気を読めない子だったから、そこまで気に病まなかったのがよかったのかもね。

あと、親が「(部長)ちゃんは大器晩成だから、きっとできるようになるよ。」ってずっと言ってくれていたから、私も「あー大丈夫なんだろうなー」って、気楽に考えられてたところもある。


娘が「自分の使い方」を見つけて幸せな人生を歩めるように、見守ったりサポートしたり、子育て頑張ろ~と思ったのでした。


(娘が発達障害なのかどうなのかは、分かりません。そもそも、「特性」と「障害」の境界もはっきりしません。以前、障害者スポーツ医の研修会で、「発達障害の特性項目を見て、自分はこれは当てはまる、というかたは、ここにも(参加者の中にも)けっこういると思います。本人やや周囲が困難を感じていたら、障害の診断が付き、支援の対象となる。」みたいな話を聴き、なるほどなと思いました。
最近は発達障害に対する認知が広まり、支援の手が届きやすくなったことは良いことだと思います。でも、広まりすぎた結果、安易に「自分は発達障害(の気がある)」のように言う人が増えているような気もして、それもどうなんだろう…と思ってしまいます。でもそれで、その人の心の安寧が得られるのならよいのかな…単なる言葉の使い方、という考えもあるし。

部長の場合は、特別な支援を受けずになんとか社会に適応できた例ですが、みんなが「大器晩成」で済まさせる訳でもなく、やはり支援が必要な場合もあります。本人や親の認識のしかたもあり、そこの見極めは難しいなと思います。私は仕事で発達障害児と関わることはあるものの、専門でもないし主治医として診ているわけではないので、あまり無責任なこと言えません。)




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